2017年は、マルティン・ルターの宗教革命から500年を数える

2017年、ルターが熱い。2017年は、マルティン・ルターの宗教革命から500年を数える記念すべき年です。各地で行われるお祭りには、ルターの破門を決定した都市・ウォルムスでもちゃっかり行われているのです。反ルター派都市の誇り・カトリックの大聖堂やそれでも力強く残るルターの痕跡を辿りに、宗教革命の都市ヴォルムスの旅はいかがでしょうか。

ウォルムスはどんな場所?

写真:藤 華酉

フランクフルトから1時間程、ライン川沿いに位置する中都市ウォルムス(Worms)は起源を青銅時代まで遡る歴史ある都市です。ローマ帝国の駐屯地となって以降、「ニーベルンゲンの歌」の舞台ブルグント王国の首都や、神聖ローマ帝国の王の都市として名前を残し続けて来ました。
http://www.seniorcom.jp/blog/view/184679
http://www.seniorcom.jp/blog/view/184676
街には今でも数々の立派な教会が残り、宗教都市としての威光を感じさせます。その教会が「カトリック」だったり「プロテスタント」だったりと混合している所に、歴史を感じさせる場所でもありますね。

ドイツロマネスクの至宝・ヴォルムス大聖堂

写真:藤 華酉

12世紀に建造が始まったヴォルムス大聖堂は、ドイツのロマネスク様式で建てられました。特長は威圧感すらある重厚な外観。この都市でのカトリックの権力をまざまざと見せ付けて来ます。
しかしこの外観、本当は宗教革命500周年に合わせて工事を終える予定だったのですが…。

写真:藤 華酉

外見は重厚なヴォルムス大聖堂ですが、内部の華麗さには息を呑むばかり。ロマネスク建築だけに全体の装飾はあっさりしているのですが、それを補って余りある金銀細工。カトリックの権力、全開です。
http://faeproiaarpoi.asks.jp/675.html
http://faeproiaarpoi.asks.jp/446.html
ルターの故郷には銀鉱がありました。貧しい労働者を酷使しては日々教会へと運ばれる莫大な銀を眺めて暮らす内に、ルターは富を独占する教会権力への疑問を膨らませていったのではないか、と言う説があります。そうした意味でもヴォルムスの大聖堂はルターと折り合いの悪い場所なのでした。

写真:藤 華酉

後世の増築部ではありますが、ロマネスク建築らしからぬステンドグラスも見所です。一般に、重厚であるのがロマネスク建築の特徴ですが、薄暗さと光が調和して眩いばかり。
天空を感じさせる薔薇窓が嵌る後陣もあれば、地下には神聖ローマ帝国の歴代の王の棺が置かれた一室もあり、光と影のコントラストが美しい教会です。

ヴォルムス市歴史博物館

写真:藤 華酉

ヴォルムスの歴史を深く知るなら、ヴォルムスの歴史博物館である「Museum der Stadt Worms im Andreasstift」が詳しいです。こちらはかつての城壁沿い、修道院を改装して作られた博物館。回廊や付属教会はそのまま残されており、建物にも一見の価値があります。

写真:藤 華酉

遡るは石器時代から近代に至るまで、ヴォルムスの歴史を幅広く紹介する博物館。しかし、矢張り気になるのはルターの歴史。破門を決定した1521年のヴォルムスの情勢や、どんな人々がプロテスタントの台頭に反対していたのか、なんてご当地ならではの歴史でしょうか。残念ながら説明はドイツ語のみですが、絵や地図を用いて複雑な革命の歴史が分かりやすく説明されています。
「実物」が無造作に置かれており、距離の近い博物なのですが、特に宗教革命に欠かせなかった「活版印刷」の作業風景を再現したコーナーは、実際の16世紀の小道具が用いられており、雰囲気がありますよ。