フランス南東部、マルセイユの北30kmの場所に位置するエクス・ア

フランス南東部、マルセイユの北30kmの場所に位置するエクス・アン・プロヴァンスは、紀元前に起源を発する古い街。ローマの将軍セクスチウスが湧き水の多いこの地を治め、「セクスチウスの水(アクアエ・セクスチアネ)」と呼んだことに由来します。
画家ポール・セザンヌが生まれ、生涯を閉じた街としても有名で、街には彼の軌跡を記す場所が点在しています。印象派の巨匠セザンヌゆかりのスポットをめぐってみましょう。

セザンヌが愛した泉の街

写真:吉川 なお

「エクス」と親しみを込めて呼ばれ、別名泉の街ともいわれるこの街は、かつて人々の喉を潤した泉や噴水が今もいたるところに残されています。街の中心は一番大きな噴水、ロトンドがあるド・ゴール広場で、そこからまっすぐ延びるメインストリートのミラボー通りにはプラタナスの並木が連なり、おしゃれなカフェやショップが並んでいます。プロヴァンスにいながらパリのような洗練された雰囲気が味わえるおしゃれな街で、きっとこのような空気もセザンヌの創作意欲を掻き立てたことでしょうhttp://diary.motekawa.jp/u/?id=fhoaeroaer
http://mixpaper.jp/scr/book_detail.php?id=58c74c701b812

創作の泉 「セザンヌのアトリエ」

写真:吉川 なお

エクス中心部から北に歩いて約15分のレ・ローヴの丘に画家ポール・セザンヌが1901年から1906年に亡くなるまでアトリエにしていた家が静かに佇んでいます。
『エクスで生まれた者は、それ以上の場所を発見できなくなってしまう』と知人への手紙に記したほど生まれ住んだこの地を愛した彼は、オリーブとイチジクの樹々が茂る丘の一角に自ら設計図を引いてアトリエを建設しました。
ここは絵を描くためだけの部屋で、プレゴン通りのアパルトマンを早朝出て、朝6時から10時半までキャンバスに向かい、昼食をとりにエクスの自宅に戻ったあとすぐに風景写生に出かけ、http://mixpaper.jp/scr/book_detail.php?id=58c74cbcca754
https://tab.do/items/25838975
夕方5時に帰ってくるという規則正しい毎日を送っていました。アトリエの前には彼が休息し活力を得た庭があり、ここの風景を40点もの絵に残しています。

最晩年の傑作が生まれた場所

写真:吉川 なお

2階の50平方メートルのアトリエは、北と南の左右の大きな窓から光が差し込み、屋外の自然の中と同じような光が得られる明るい部屋で、大きなイーゼルやパレットなどの仕事道具とともに彼が使用した椅子やストーブ、カウチソファなどの愛用品が在りし日のまま置かれています。
壁には絵の具のついた作業着やフロックコート、山高帽がかけられ、その足元には制作中に使ったであろう日よけの傘とバスケットが置かれており、生活感あふれる貴重な品々を間近で見ることができます。
1894年から着手された代表作のひとつ、「大水浴」3点(フィラデルフィア美術館、ロンドン・ナショナル・ギャラリー、バーンズ・コレクション所蔵)はここで制作され、北側の窓枠に設えたすき間からキャンパスを外に運び出し、自然の中で裸体の背景に風景を描きました。セザンヌにとって水浴図は人間と自然の調和を探求する格好の題材で、このアトリエはまさにその集大成となった大作を完成させる最良の場所でした。