首都圏を中心とした大手スーパー「いなげや」で3年前に男性社員(当時42歳)が過労死し

首都圏を中心とした大手スーパー「いなげや」で3年前に男性社員(当時42歳)が過労死していたことが4月17日、わかった。遺族の代理人弁護士が厚労省記者クラブで会見を開き、明らかにした。同社では2003年にも別店舗の従業員が過労自死しており、労務管理が問われそうだ。

弁護士らによると、この男性は埼玉県内の店舗で一般食品部門のチーフ(非管理職)として勤務。2014年5月下旬、勤務中に体調を崩し、約1週間入院。復帰直後の6月5日、勤務後、駐車場で倒れているところが見つかり、6月21日に亡くなった。脳梗塞(血栓症)だった。

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男性の残業は記録上、毎月30時間程度。しかし、さいたま労基基準監督署などの調査で、サービス残業の常態化が明らかになった。さいたま労基署は2016年6月、少なくとも毎月80時間ほどの残業があったことや、不規則なシフト制などが影響したとして、過労死として労災認定した。

●過労死ラインに達しなかったにも関わらず、認定された理由

労基署が認定した残業時間は、最大で月96時間ほど。発症前1~6カ月平均は最大で75時間53分で、過労死ライン(単月100時間、複数月平均80時間)には達していない。それでもなぜ、過労死と認定されたのか。

その理由は、いなげやのずさんな勤務時間管理にあったようだ。弁護士によると、この事業所では、タイムカードを正確に打刻させず、早出勤務や終業後の作業をさせていたという。労基署はこれらの実態から、認定した月平均75時間以外にも、労働時間があったとして、労災と認めた。

遺族側代理人の嶋﨑量弁護士は、「労働時間管理は、工事現場でヘルメットを被るくらい当たり前のことだ」として、いなげや労務管理を批判。「労働時間管理がきちんとなされなくては、罰則付きの残業規制が導入されても、サービス残業がただ増えてしまうだけだ」と、政府の「働き方改革」の実行計画案も踏まえて批判した。

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遺族は今後、会社との交渉を通じて、1億5000万円の損害賠償や再発防止策などを求める。会社の対応次第では提訴も検討するという。遺族は代理人を通じて、次のようなコメントを寄せた。

「『いなげやさん』長時間労働を命令したのは誰ですか? まさか死ぬとは思わなかったのですか? またかけがえのない命が奪われないよう過労死は私たちの家族が最後であってほしい」